新築・リフォーム前の予備知識

新築する前、増改築などのリフォームする前のシロアリ予防でもっとも大切なことは、薬剤を散布することでもなければ、様々な防アリ関連資材を取り付ける予防だけでもありません。それはシロアリとの関係をうまく処理できる構造的な工夫も大切です。とにかく人間に絶対安全、かつシロアリに絶対有効ってことはありえません。薬剤処理や環境管理と建築構造など、総合的なシロアリ予防が必要なのです。

薬剤による予防処理

●土壌処理

一般に地中を通って建物内に侵入してくることが多いので、建物の基礎の内側や束石の周囲、その他シロアリが通過する恐れのある土壌を薬剤で処理すること が、シロアリの侵入を防止する最も効果的な方法になります。通常は、土壌表面に薬剤を散布し防蟻層を形成します。最近では、防蟻効果の他に土壌からの水分 蒸散防止を目的とした土壌被膜形成工法やシート工法も採用されています。
(平成21年8月社団法人 日本しろあり対策協会 防除施工標準仕様書より)

 シロアリ防除剤の土壌散布がよく行われます。やみくもに大量の薬剤を散布するのは非常に問題です。住んでる人に被害が出ているケースが多くあります。しかも住人だけでなく、近隣の人にも被害を出しているのです。発症してからでは、後悔してもし切れません。

●塗布処理

木部処理は、木材表面に薬剤を噴霧器を用いて吹き付け処理するか、又は刷毛等で塗布する方法と、木材や壁体に穿孔して薬液を注入する方法があります。新築 建物の木部処理は、通常、地面から1mまでの部材、浴室回り部材、洗面所や台所等の水回り部分の木材を処理します。また,木口、切り欠き、ボルト穴、仕 口、接合部、コンクリート接触面等は特に入念な処理が必要です。
(平成21年8月社団法人 日本しろあり対策協会 防除施工標準仕様書より)

 防蟻・防腐剤を材木に塗布する方式はどうみても危険と思います。発散したその毒を人間が吸い込んでも安全だという保証はないんですから。
 しかも塗布した薬剤は5年程度しかもたないとのこと。5年経ったらどうするんでしょう。新たに塗布するというのでは、あまりにも危険です。

●加圧注入方式

 多くの加圧注入式はCCAという薬剤で、これは劇薬です。
 毒性の低いACQを用いるものもあります。

  〔CCA〕

 加圧注入式に用いられる薬剤。これにはヒ素クロム・銅が入っています。ヒ素は、例のカレー事件で使われたものです。劇薬です。
 こんなものを人が毎日暮らす住宅に使うのは、危険だと私は言い切ります。

 30年前から使われているそうで、それらが建て替え時期に来て、解体後その廃材を焼却するとヒ素や六価クロムが煙になって出るはずです。どうするんでしょう。
 実際これはすでに起こった問題です。阪神大震災で倒壊した家屋を野焼きして処分した際にです。
 重金属や化学薬剤で腐食を防いだ木材はそれ自体が有害廃棄物になるので、リサイクルにも回せません。
   

  〔ACQ〕

 CCAに比べればACQの方が毒性は低い。でも毒性はあります。ないと防蟻にならないですから。
 その主要成分であるDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)の毒性は以下のとおりです。
   1.急性経口毒性      LD50 = 1.1g/kg (ラット)
   2.急性経皮毒性      LD50 = 3.19ml/kg   (ラット)

LD50とは、ラットに与えてその50%(半数)が死ぬ量のことで、それが経口(口から飲む)では体重1kg当たり1.1g、経皮(肌に塗る)では体重1kg当たり3g(比重は約1)ということです。

解りやすく言いうと、体重を50kgとすると、
  ・55gを飲んだら半数は死ぬ
  ・150gを肌に塗ったら半数は死ぬ
ということです。かなりの量を塗らないと死にはしない。急性毒性は弱いということです。
 
  これは塩素を含んでいるので、廃材を焼却するとダイオキシンが発生する可能性があります。

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●薬剤に頼り過ぎは、間違い?

日本しろあり対策協会の仕様書では、比較的薬剤の散布を推奨している感があります。もちろん日本しろあり対策協会の重要な役目を果たしています。ただ、大切なことは「一律にどんなお住まいでも同じように薬剤を仕様書通りにまいておけば良い」という訳ではありません。全てのお住まいは、それぞれすべて違った環境・状態にあるわけですから。
薬剤は、適材適所に使うことが肝心です。薬剤ばかりに頼りすぎは、目に見えない危険が潜んでいるかも知れないからです。


建築構造による予防

現代の住宅は生き物(つまり自然)との共生を憎悪し根底的に拒否しています。その結果、生き物の適応にうまく対処できず、本来無害な生き物をすべて敵にまわしています。
生き物との関係で家を建てる風習は、長い歴史の中で形成され近年まで職人の間に受け継がれてきましたが、今ではまったくなくなり、法律とデザイン、建材と数値だけで家が建てられるようになりました。そしてその結果、居住者が後で困ることが多くなったのです。

■人が入れて点検ができる床下に!

点検できないと話にならないから、地面から床までの高さは5〜600ミリは欲しい。それから床下収納庫とか畳の下とか、どこか一ヶ所から入れて、すべての部屋に通じていること。点検できない場所があったり、入れない場所があると、万が一、シロアリの被害があっても駆除処理が難しい場合がある。駆除処理の手間や薬剤の量、費用も抑えられる可能性が高い。もちろん、シロアリの発見も難しい。

■ベタ基礎=シロアリ防除不要

「ベタ基礎の場合はシロアリは侵入できない」と言う建築業者もいるようですが全く間違いです。シロアリ予防が不要と言うより他の基礎構造より侵入の可能な箇所が少ないというだけです。布基礎などと比べても基礎構造だけで判断ができません。
シロアリはコンクリートを突き破って進入したケース。コンクリートのベタ基礎の底盤部と立ち上り部分のコンクリート打継ぎの隙間からシロアリが侵入。また、設備配管とコンクリートの隙間から食害があります。

■シロアリがいても対処しやすい家、見つけやすい家を

かつての日本の家屋はヤマトシロアリとうまく付き合うことのできる家でした。それは、部材が露出し、被害が早期に見つかり、あるいは日常のメンテナンスが容易でした。今よく見られるのは、乾燥してはいても一旦シロアリの侵入を受けると対処できない家です。床下がない家、床下が低すぎる家、柱が密閉状態の家、土間周りが 複雑な家、デザインだけで無理なリフォームをした家などです。木の乾燥を保て、木の状態を確認できる、そうした家の構造にすることはシロアリ対策に重要なのです。

もちろん、家を建てるときには何らかの薬剤処理をするかもしれません。しかし、こういう建物 では二度と処理のできない部分が多くを占めます。そして薬剤は永遠に効くわけではないのです。ところが、居住者はこの構造と永遠に付き合うことになるので す。結局、点検を怠らないことが、最も有効な対処方法であることを理解し、建てるときの判断基準にすることがきわめて重要です。

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■床下換気システムで、24時間換気をするので、床下は室内と同じ環境です。                     だから、寒い冬でも素足で歩ける快適な生活が遅れます?

床下に滞留した空気を強制的に排出し、新鮮な空気を取入れることで床下の湿度を下げるために、床下換気扇は開発されたました。
床下の空間というのは室内に比べて一般的には高湿です。また温度差により、室内から流入した空気が冷やされて、土台等に結露が発生することがしばしば起こります。ですから状況に応じて適切な対策が必要になる場合もあります。

設計上の問題もあるでしょうけど、間仕切りの布基礎が密閉したままだと、空気の流れがなく話にならない。ものの半年でむれてしまう。通気口は、空気の流れやすいように、できれば直線に空けるのが理想。南北にあるならば、その間の直線にあたる間仕切りの布基礎部分もカットする。これだけでも違います。上物は立派だが、床下は三流にならないようチェックしましょう。工務店とも相談してください。

シロアリ被害は一つの傾向を示しています。それは、玄関の被害です。ポーチの裏側に達したシロアリはコンクリートの形に 沿って活動するとどうしても玄関に侵入できてしまいます。しかも、空気に触れず、人間にも見つからずに侵入できるのです。


■シロアリ返し(防蟻版)

防蟻版はアリ返しともいわれるもので、束石や基礎コンクリートに沿って蟻道を延ばしてくるシロアリを、下方に折り曲げた縁を持つ金属板などの板によって阻止しようというものです。
これまでの研究者による実験では、ある一定の比率による曲げ方や形状の防蟻板をシロアリが突破・通過できないとされています。
しかし、次のような問題点があります。

■シロアリ返しの問題点

一つは、設置する場合にきわめて均一・完全に設置できるかどうかです。
シロアリは防蟻版にぶつかると防蟻版に沿って横に移動します。そうしたときにわずかでも接合部に隙間があるとそこから侵入します。つまり完全な工事をいか に保証するかということです。研究者の実験でもほんのわずかな形状の違いによって突破されているのです。とくに、既設家屋ではこれを完全に行うのはきわめ て困難だといえます。。
二つには、研究者の実験は限られた期間のものであって、10年以上にわたるアタックを受けた場合には、防蟻版の下側に土が詰め込まれて、単なる突起になってしまう可能性があることです。あるいは材質によっては穴があけられる可能性もあります。
三つには、これが決定的ですが、家屋全体のシロアリ対策として考えると、もっとも侵入しやすい土間の中には設置できないということです。

つまり、定期的にメンテナンスできる床下には設置できても、真に必要な地下には設置できないのです。
防蟻板の場合、むしろ完全な阻止を目指すのでなく、定期点検との組み合わせで「侵入を遅らせる」道具と考えた方が無理がないようです。
ターミメッシュ・シロアリシャッターなどの商品名で販売。
薬剤に頼らない新築予防で部分的に利用しています。
既存の建築物では、使用できません。

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耐アリ性木材

●シロアリに食べられない木材はある?

住宅に使用されている木材で、シロアリに食べられないものはありません。耐アリ性木材であろうと、薬剤で防蟻処理された木材であってもかじられています。一般的に言われる食べられにくい木や、製材した木のどの部分を使用しているかにより、シロアリに食べられなかった場合はあります。

木には心材部分(木目の詰まった中心部分)と辺材部分(樹皮と接している周辺部分)があります。心材部分の方が、辺材部分に比べると固く、含水率も低いです。心材を使ったからといって、シロアリに食害を受けないわけではありません。固くて食しにくいと言うだけです。
耐アリ性樹種一覧表
耐アリ性 樹    種
ヒバ、クルイン、シタン、チーク
ヒノキ、スギ、カラマツ、ブナ  など
アカマツ、クロマツ、ベイツガ、ベイスギ  など

シロアリの被害を避けられる樹種は、存在しない!

しかし、床下に使用する木材は、できる限り耐アリ性木材を選び、使用するのがより良いことは間違いありません。

住宅金融支援機構・建設省・日本白あり対策協会

■住宅金融支援機構

木造住宅の新築時には90%以上の建物に防蟻工事が施されています。しかし、「新築時に住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)を利用する場合は、床下地面に薬剤を散布する、防蟻効果を有するシートを敷設する若しくは樹脂皮膜を形成する等の防蟻処理が義務付けられている」はウソです。

Q、地面への防蟻薬剤を散布したくないのですが、どうすればよいですか?

A、公庫は薬剤使用を「義務」にはしていない住宅金融支援機構より

機構の耐久性基準では、地面への防蟻措置として、

  1. 基礎を鉄筋コンクリート造のべた基礎とする
  2. 地面を一様に打設したコンクリート(鉄筋が布基礎部分と一体化したものに限る。)で覆う
  3. 床下地面に薬剤を散布する、防蟻効果を有するシートを敷設する若しくは樹脂皮膜を形成する

の3通りありますので、1または2を選択した場合には、地面への防蟻薬剤の散布等は不要としています。
つまり、 「防腐・防蟻措置」の仕様では、木部の防腐・防蟻措置は以下の2つになってます。
  ・ひば、ひのき、すぎ等の耐腐朽性及び耐蟻性のある樹種を用いる
  ・べた基礎
のどちらかを行えば、薬剤処理しなくてもよいとされています。
防アリ性の材木か、ベタ基礎であれば薬剤は使わなくていいのです。薬剤以外の措置があることを、工務店も設計士もいまだに誤解しています。

木の耐腐性・耐蟻性については<木材のちがい>を参照下さい。

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■建設省の提唱内容

建設省は防蟻・防腐措置として以下の4つ

1.樹種の選択
2.構法による対応(軒の出を深く、1階床を高く、通風のよい構造により雨水や湿気から建物を守る)
3.建物の保守・管理(こまめに手入れ修復を実施)
4.薬剤処理

 すなわち、防犠牲・耐腐性の大きい材木を用い、できるだけ乾燥した状態を保つこと。そして木の状態をいつでも確認できるようにすること、1〜3の方策をしっかり立てることで十分可能なのだと考えます。
薬剤注入されていると絶対大丈夫ってことではなく、シロアリが寄りつきづらくした上で、点検を怠らないというのが、結局最大の防御法(メンテナンス)である。

■日本シロアリ対策協会仕様書

 使用する薬剤・工法などは、協会で認定登録又は登録されたとおり行う。
予防処理は土壌処理法と木材処理法で行う。――薬剤を撒きなさいとの指示
しろあり予防処理を行う者は、処理をした建築物の記録として、次の事項を保存する。保存の期間は5年とする。

  @ 建築物の名称、所有者、住所
  A 処理の年月日
  B 建築物の平面図及び予防処理の箇所
  C 薬剤の名称、濃度、使用量、予防処理の方法
  D 予防処理の担当者の氏名
日本しろあり対策協会は、シロアリ防除の徹底をはかり国民生活の安定と国富の維持増進に寄与したいと設立された社団法人です。社団法人とは、いわゆる関係省庁所管の公益法人のことです。天下りや税金のムダの温床と指摘されている団体がたくさんありますね。
シロアリ駆除の専門家や業者が、公益のためとして、自分たちの権利や企業を守るために存在していると言ったら言い過ぎでしょうか?もちろん社会に寄与していることも多々あります。
日本しろあり対策協会は、協会が認可した薬剤を使い、薬剤処理を勧めています。個人的には、何でも「大量散布」など、あまり共感できない部分もあります。

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正しいシロアリ対策・シロアリ駆除とは?

シロアリ対策は、薬剤の処理や床下換気扇などの付属措置をするだけで完全とは言えません。家屋の設計や構造での工夫も必要です。さらに、人によって定期的な目視点検が欠かせません。この3つの要素がバランスよくできるシロアリ対策が正しいシロアリ対策なのです。

リフォーム・改築でやってはいけないこと

リフォームがシロアリ被害を誘導してしまうこともあります。

@安易にコンクリートで地表を覆わない。

 コンクリートで地表を覆うことで、それまで地中で静かにしていたシロアリが活性化され、シロアリ被害が誘発される場合があります。本来は、庭などは、雨などが直接降り、シロアリが地表に出ない環境であったが、コンクリートで覆うことにより、シロアリが住みやすくなり、活性化します。束石回りをコンクリートで埋めたり、古い基礎回りのを埋め、近くまでシロアリを呼ぶこともあります。

A増築の時の基礎は注意!

増築の場合の基礎は、二重構造にしないこと。2重にする必要がある場合は、ある程度すき間を空け、基礎どうしの間が見えるようにしておくこと。シロアリの侵入が確認できるようにしておくことです。
また、既設家屋につなげて新しい基礎をつくる場合は、旧基礎の仕上げのコンクリートを除去して、改めて新旧の基礎の接合仕上げをしておきましょう。(接合部が侵入を誘導することが多い)

Bコンクリートブロック基礎

ブロックを基礎に使用する場合は、接合部だらけとなり、すき間からシロアリが侵入してきます。こんな時は、基礎パッキンを活用して防止しましょう。

C土間からの改造

D耐震工事での注意点

ガーデニング・ウッドデッキ

 色とりどりの草花に囲まれて気持ち良く過ごされているご家庭のみなさん。
ガーデニングでは、木製品を直接地面に設置してシロアリの被害が頻発することがあります。
木製商品に「シロアリに強い」「シロアリ薬剤処理済み」など書かれているが、根拠があまり期待できません。信用しないでください。
花壇の枕木や杭などは、木製火を使用しないようにしましょう。またウッドデッキなどは地面に直接接しないようにし、シロアリの被害が確認できるような構造にしましょう。
鉢などは、コンクリートやプラスチックの台の上に置きましょう。

よくレンガで家の基礎から囲って花壇にしています。できるだけ作らない、作っても距離を持たせることがいいでしょう。
屋上やベランダでの庭や緑化には、防水のコーキング剤から侵入し家屋まで被害をもたらすことがあります。

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